持ち合わせた感性を2周位まわしてやっと楽しめた
主役の少年は14歳で貧乏貴族出身。財政難の我が家を救う為に帝の住む屋敷「パレス・メイヂ」で働く事に。朴訥で姉思い、家族思いの優しい少年。14歳の少年らしい感情表現と無防備さなので、読んでいるこちらの「普通の人目線」から物語をながめられる。
帝は16歳の少女。少女漫画特有のキラキラ女子ではなく雛人形のような醤油顔なので正直ビックリした。ヒロインなのに一重で切長な目だけど大丈夫なのか、という失礼な気持ちにもなる。読み進めていくとスマートに着こなす軍服や凛々しい立ち居振る舞いにカッコ良さを感じて愛着がわく。
この2人を軸とした身分違いのラブロマンスなのだが、基本は帝周囲の小さな事から大きな事まで含めた御家騒動や政治問題などなどである。
そこにちょっとした恋愛要素が足されるが、帝は鋼メンタルで身分や立場の違いを全てわきまえたかたちで振る舞うし、主人公はバレバレの恋愛感情を持つも帝という存在への忠誠心を捨てる事なく振る舞う為に、2人の想いは物凄く静かなかたちで描かれる。
加えて帝から主人公への個人的な感情はなかなか描かれない。本当にわきまえまくりで、静かな日本庭園のような恋愛模様である。これを楽しめるところまで理解を深めるのは時間がかかりました。