あらすじ「卑怯ですね」「君より大人だからね――ごめんね」「なんと読むのだろう」それがきっかけ――。閉塞的で目新しい物もない田舎町。図書館に訪れた、人目を惹く静かな男。司書の萩原は、自ずとその男を目で追い、彼が本棚の端から順番に本を借りているという法則に気づく。きっかけは些細で、けれど確かな興味だった。次第に几帳面に見える男・八月一日の素を知ることになり――。オオタコマメの紡ぐ、センシティブラブストーリーが一冊に。【描き下ろし15Pあり】
リンゴさん通報5.0純文学みたいな。緻密に組み立てられた作者のプロットの中で、先生と司書の彼のピースが、一つずつ嵌っていくような印象を持ちました。田舎の風景の中で、ゆっくりと穏やかに近づいていく二人の心の動きが、細やかに描写されていました。ずっと生きづらかった先生が、年下だけど柔軟で懐深い青年と出会えて、ようやく幸せになれそうですね。諦め悪く、でも、素直で真っ直ぐな伸びしろのある年下の彼に出会うために、幸せになるために、先生は帰って来たんだね。2025/04/27いいね