真っすぐで愛おしい。
『跪いて愛を問う』の悠生の従弟である御門と、
クラスメイトで相方となる須藤君のお話でした。
大人になった悠生と正己がチラッと出てくるけれど、
スピンオフという位置取りではないですね。
あくまでも、伊達家の御門と須藤君のお話です。
『跪いて~』でもそうでしたが、
主人公の家族がとても深く関わって来て、
そのほとんどが過渡的に見ると、
悪しき方に強く影響を及ぼします。
一方、主人公とその相方とには、
過去にとても印象的なかかわり合いがあり、
そこから運命的な絆が結ばれて現在に至る・・・。
本書もその法則(?)に則っていました。
何でも持っていると思われる完璧なヒトが、
実は根本的に大きく欠落していて、
そこを埋めようと苦悩する姿は不憫で愛おしい。
御門が、望んだものを手に入れようと、
真っすぐに生きている様には心惹かれたし、
痛ましくて寄り添いたくもなりました。
須藤君も、変化球みたいな、
何とも魅力的な男の子でしたね~。
無償の愛というと面映ゆいけれど、
ひたすらに存在を肯定してくれる須藤君だからこそ、
御門は救われて、新しい一歩を踏み出せたんだと思う。
一見、逆転現象の凸凹カプに見えるけれど、
この二人でなければ築けない歴史を造ったことを、
ラスト近くで証明してくれました。
きっと、幸せに生きてくれたんだと想像できます。
加えて特筆したいのは、
雑誌掲載当初のカラーが数ページ収められていること。
カラーでないページも含めて全編が美麗です!