愛(いと)の自殺未遂、そして光との出会いから数年前。真木柊一は研究者を目指す勤勉な学生だった。大学院進学を目前としたある日、柊一は訪れた書店で店員の女性に一目ぼれする。それが愛だった。
必死のアプローチが実って柊一と愛は恋人同士になり、一緒に暮らし始めるが有名な研究者でもある柊一の両親は、貧しく学歴のない愛を受け入れてくれないだろうと柊一は愛の存在を数年間ひた隠しにしていた。
そんなある日、愛の妊娠が発覚する。それを知った柊一の両親は愛に中絶を迫り、柊一もまた、今は子供をあきらめて自分が独り立ちするまで待っていてほしい、と言う。絶望した愛はあの海に向かうのだった――。
※分冊版4~6収録。