弱冠二十五歳にして一国を統べる、シタの若き大王ダーハル。有能な男だが反面、敵も多く、部下のなかにも失脚させようと目論む者がいる。絶大な権力を持ちながらも孤独な彼は、エルンスター聖王家四人の姫のうち、一人を妃として迎えようと軍を動かす。エルンスターが“生け贄”として差し出したのは、黒い髪と瞳を持つ二女のサラ。群を抜いた美しさを誇り、男勝りの行動力と気性の激しさから“炎の花”と呼ばれている娘だ。そしてこの婚姻がダーハルにとって破滅の始まりとなる……。
壮大なヒロイック・ファンタジー、『エルンスター物語』シリーズの外伝。
●日野鏡子(ひの・きょうこ)
1966年生まれ。東京都北区赤羽で育つ。豊島岡女子学園卒。東洋大学文学部印度哲学科在学中にSF誌からデビュー。以降ライトノベル中心に多数上梓。代表作『エルンスター物語』『桜の國の物語』など。こよなく愛するもの・猫猫猫自由ネコネコ。