喪失感に向き合うことって。
自分にとっての大切なヒトを亡くすということは、
どんな人の人生の中でも必ず何度かは遭遇することで、
そのことを達観したモノローグで呟くように始まるこの漫画のスタンスに、
最初からぐっと惹きこまれた。
誰にでも必ず訪れて、必ず体験することではあるけれど、
そのことに向き合う気持ちは、
1000人いたら1000の違う想いがある。
この漫画で丁寧に描かれている、
大切な人を喪った人々の日々の生活の根源には、
ずっと喪失感が漂っている。
毎時毎秒、そのことに囚われているわけではないが、
時々、その喪失感がふっと表層に出てくるところも実にリアルで、
胸がギュッとする。
涙が溢れる。
大切なヒトを亡くしたという
喪失感と寂しさと悲しさと虚しさと後悔とetcetc・・・。
志乃ちゃんと希さんが、
どう向き合っていくのだろうかと、
折り合いをつけられるのだろうかと、
彼女たちと同じ想いを体験している万人がいて、
その万人の中でのたった二人の想いを、
見届けさせてくれるために描かれたお話だと感じている。