アイヴズ(1874―1954)の曲から聞こえるのは、遠くの音、近くの音、野外の音、
室内の音、パレードの音、礼拝の音、川向うからの音、夢のなかの音──。
ヨーロッパのクラシック音楽に、
アメリカの流行歌やプロテスタントの教会音楽を大らかに取り込み、
新しさと郷愁とが混然一体となった“ごった煮”の音楽を作った、
実験的で進歩的な「日曜作曲家」。
長年にわたる無名時代を過ごし、
ようやく作曲家として評価されたのは60代半ばのこと。
79歳で生涯を閉じたときにはアメリカ最大の作曲家のひとりとして
賞賛されるに至っていた。
指揮者レナード・バーンスタインが愛し、来日公演でも披露した
アイヴズ作品とその生涯をたどる日本では類のない評伝が堂々刊行!
《答えのない質問》など主要作品の解説と索引も充実。