一国の財政を左右するほどの遺産。それを引き継いだ「幸福の未亡人」ことハンナの喪明け舞踏会の演奏依頼が、ジルバーマン楽団に舞い込んだ。しかし会場は予想通り、未亡人のハートを射止めんと群がった紳士達で大混乱の大混戦。フランツたち薔薇の騎士四重奏団も騒動の渦に巻き込まれてしまう。様々な思惑や頑なな意地が交錯する中、真実の恋の行方はいかに……。
音楽の都ウィーンを舞台にしたジュヴナイル・ミステリ、『ウィーン薔薇の騎士物語』第5弾、完結篇。巻末に「電書版あとがき」を追加収録。
●高野史緒(たかの・ふみお)
1995年、第6回日本ファンタジーノベル大賞候補作『ムジカ・マキーナ』でデビュー。2012年、『カラマーゾフの妹』で第58回江戸川乱歩賞受賞。2024年、『グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船』で第55回星雲賞日本長編部門受賞。著書に『赤い星』、『翼竜館の宝石商人』、『まぜるな危険』、『ビブリオフォリア・ラプソディ あるいは本と本の間の旅』等がある。