見えざる怪異の真……しかと視たり。
昭和24年。復員後、明久津累は貸本屋『あたら夜堂』を営んでいた。
そんな彼を激戦地での悪夢が苛む。ジャングルでの恐ろしい記憶と共に右の目が痛み、彼を苦しめていた。
戦友であり、カストリ雑誌の記者をしている辻ヶ瀬透に誘われ、彼は有閑マダムが主催する『妖異倶楽部』に参加する。
そこで、たたら坂で幽霊が目撃談されていると聞く。
深夜、噂のたたら坂の井戸に向かう二人。
奇妙な気配と共に、彼らは井戸に落下してしまう。
目を覚ました二人の前に広がっていのは、ジャングルの光景だった。
怪奇と幻想の迷宮の中で、彼らは思いもよらぬ光景を目の当たりする。
そして明久津と辻ヶ瀬はそれぞれ、ある秘密を抱えていた。
明久津は、見えざる怪異の真にたどり着けるか……?