お寺の境内にちりばめられた仏の世界の読み解き方
「お堂で礼拝する際、座して一礼するのはなぜなのだろう」という素朴な疑問から本企画は始まりました。
実際にお寺を訪れ、床に視線を落としたあと、拝仏し、さらには天井まで見上げる。
簡素な床に対し、きらびやかに装飾された天井。
一連の所作とお堂のしつらえを1つひとつ「解剖」していくと、床は現世、天井は仏の世界を表現していて、
正面にいる仏像は2つの世界をつなぐ存在なのだと気づかされたのです(あとがきより)。
本書はこの疑問を解くべく、仏像とともに、その入れ物となる寺院建築の見かたを
全国各地のお寺をとおして解説しています。
建物だけ、仏像だけを見ていたのでは先人達のお寺に込めた願いは見えてきません。
なぜなら、人々を病気や災いから守り、仏の世界へと導く精緻な仕掛けが、
仏像の持ち物やしぐさだけでなく、建物の配置や細部の装飾にも込められているからです。
それぞれのお寺と仏像の解説はもちろん、仏の世界が体系的に理解できるようになる、
仏像の見分け方や寺院建築の決まりといった基礎知識もていねいに紹介しています。
読後に参拝したときには「なぜお寺に行くと心癒されるのか?」の理由がきっと見つかるはずです。