かつてバベルの塔を破壊し、原初の言葉を奪った者がいた。その者を人々は〈神〉と呼び、〈神〉は陰から人々を支配した。しかし支配から逃れ、原初の言葉を話す人々もいた。背反者と呼ばれ、〈神〉から狩られる人々……テイファレトやコクマーがそうである。祖父を殺されたテイファレトは、やはり同じ背反者のヴィナと出会う。ヴィナは逃亡の旅を続けながら仲間たちを見つけ、〈神〉の正体をあばこうとしている。絵師を夢見る少年イェソドもまたそういう人間の一人。街を出ようとしながら、なかなかうまくいかず、苦しい日々を送っているのだが……。
●日野鏡子(ひの・きょうこ)
1966年生まれ。東京都北区赤羽で育つ。豊島岡女子学園卒。東洋大学文学部印度哲学科在学中にSF誌からデビュー。以降ライトノベル中心に多数上梓。代表作『エルンスター物語』『桜の國の物語』など。こよなく愛するもの・猫猫猫自由ネコネコ。