ハランの領主アルベルトの後継ぎとして生まれたゲブラー。だが彼には出生の秘密があった。母親が旅の剣闘士と不貞を働き、その末に生まれた子供だったのだ。母親は間もなく亡くなったが、それでもアルベルトはゲブラーを愛した。しかし後妻とは折り合いが悪かったゲブラーは、故郷を捨てる。苦難の旅の果てにゲブラーは、ヴィナやテイファレトと出会う。ゲブラーもまた、原初の言葉を話す男だったのだ。次々と現れる背反者たち。仲間を増やしていくヴィナは、いよいよ問題の核心に迫るが……。
●日野鏡子(ひの・きょうこ)
1966年生まれ。東京都北区赤羽で育つ。豊島岡女子学園卒。東洋大学文学部印度哲学科在学中にSF誌からデビュー。以降ライトノベル中心に多数上梓。代表作『エルンスター物語』『桜の國の物語』など。こよなく愛するもの・猫猫猫自由ネコネコ。