万木への想いを封じ、特捜に復帰した梛の心中は、漠然とした正義感から、確かな覚悟へと変化していた。そんななかで梛は、上層部への提言を頼むのと引き換えに、穂積からの告白を受けてしまう。このころ、世界各国で後天的なメタアレルギー患者が急増し、生身への回帰が叫ばれるようになっていた。全身生身の人間はその希少価値から、臓器売買の魔の手に晒されることになる。生身の美しさを歌う謎の歌姫リリ。ハキダメと大陸からのブローカー。そして、万木との再会――。一世一代のはったりを演じる梛は、弱点だった生身を武器にハキダメへと乗り込んだ。