長期にわたって続いている日本企業の利益率低迷を克服する施策として、ビジネスモデル設計の重要性が多くの論者によって提唱されてきた。その結果、この20年間で「ビジネスモデル」という用語は、流行語の域を脱して多くの企業人に定着し、学界による研究も進展した。他方、IT技術などの進歩とともに、ビジネスモデルの設計自由度は今も増してきている。すなわち、企業は各社のビジネスモデルに独自の創意工夫を色濃く表現できるようになってきているのだ。本特集では、日本企業が展開するビジネスモデルの実態を広く俯瞰するとともに、多様な視点からビジネスモデルの戦略的意義や変革プロセスを明らかにすることで、日本企業の未来を展望する。主な執筆者は、藤原雅俊(一橋大学)、井上達彦、近藤祐大、坂井貴之(早稲田大学)、琴坂将広(慶應義塾大学)、仮屋薗聡一、高原康次、中村香央里、吉田晃宗(グロービス経営大学院)、矢部謙介(中京大学)。経営者インタビューは、谷口恒(ROBO-HI代表取締役社長)、塚原直樹(ClowLab代表取締役)。ビジネスケースは、NTT西日本、今治タオル工業組合、佐久。