特集1は「トランプ2.0が世界史を変える?」。「この100日間で、首都ワシントンは、およそ100年間でもっとも大きな変化を遂げた」。第2次政権発足から100日を迎えた4月29日、ドナルド・トランプ大統領はこのように自画自賛しました。4月2日に発表した「相互関税」の導入を象徴として、世界は予測不可能性を前に大きな混乱に包まれています。このような先行きが不透明な時代に語られがちなのが、私たちの視座を相対化してくれる歴史のアナロジーです。トランプ大統領は19世紀の米国への愛着を隠しませんが、それに限らず、現在の世界と歴史とを照らし合わせることで、混乱期を生き抜く示唆を得られるはずです。歴史の大きな流れをふまえてトランプ2.0を見たとき、それをどれだけ大きなインパクトと位置付けることができるのか。トランプ第2次政権の政策は、世界史を変えうるものなのか。「戦後秩序」が大転換を迎えていると指摘する中西寛氏や、トランプ大統領がめざす「新しい19世紀」について分析する篠田英朗氏らの論考を通じて考えます。そのほか特別企画として、佐伯啓思氏と森本あんり氏の対談を掲載。多極化の時代を迎えたいまこそ「日本とは何か」を問い直すべきとの議論は必読です。第2特集は「国民と賃上げ」。日本、欧米、中国の賃上げ事情を比較しながら、「賃上げ」の可能性と課題に迫ります。巻頭には、文芸評論家の三宅香帆氏と『チ。』の作者である魚豊氏の対談「『陰謀論の時代』に甦るカントの思想」を掲載しています。