『SとM』で知られる村生ミオが少年誌時代に手がけた意欲作『神の子』偉大な父を持つことに悩みながらも、野球に情熱を注ぎ、もがきながら前に進もうとする少年の姿を描いた、胸を打つ青春物語。いよいよ東京都大会決勝戦。バッターボックスには拓海が立っていた。打てなければ1点差で敗れてしまうという緊迫の場面――。秋季大会の優勝が、直接センバツ出場に結びつくわけではない。だが、この勝利によって甲子園が夢ではなく、現実に近づいてきたことを誰もが感じていた。ここまでの道のりには、悩みもあった。涙した日もあれば、野球をやめてしまおうかと思った夜もあった。そんな時、拓海は父のことを思い出した。時に厳しく、時に優しく見守ってくれた父――。その存在が、知らず知らずのうちに自分を支えてくれていたのだと気づく。そして、20数年前に父が立った甲子園のマウンドに、今度は自分が立ちたい――。その想いは、強い決意となって拓海の心に刻まれていった。甲子園の春――今、その幕が開こうとしている。■目次■第1話 お酒でアタック第2話 恋人代理第3話 父の約束第4話 父と子の原点第5話 9人+1第6話 父への宣誓【特別読切】原宿シュガーナイトスローモーション