平凡な庶民の出自でありながら「風水師」にイシャウッドは就くことができた。それは「風王」と呼ばれる国王の好意によるものであった。だが一部の貴族勢力が起こしたクーデターによって風王は夫婦とも殺されてしまう。さらに姫君であるフィアナは、超科学を持つ者の手で背中に翼をつけられ、囚われの身となる。イシャウッドは国の気象を意のままにできる風水師であるため貴族たちに重用されているが、油断はできない。はたして彼は「気象塔」の操作方法を秘匿しつつ、愛するフィアナを救い出すことができるのか……。
●日野鏡子(ひの・きょうこ)
1966年生まれ。東京都北区赤羽で育つ。豊島岡女子学園卒。東洋大学文学部印度哲学科在学中にSF誌からデビュー。以降ライトノベル中心に多数上梓。代表作『エルンスター物語』『桜の國の物語』など。こよなく愛するもの・猫猫猫自由ネコネコ。