祖母が亡くなる間際から透明な魚を見るようになった少年、一ノ瀬和真。誰にも見えない存在とともに生きていた彼はある日、惹かれるように透明な魚に触れてしまい、現実と似て非なる世界に迷い込む。
記憶の海と呼ばれる場所で、和真は自身と同じように透明な魚を見ることができる少女、五十嵐朱音と出会う。
謎の失踪事件が頻発する中で、透明な魚が関係していることを知り、和真は朱音とともに真相を探ることに。海を渡り、さまざまな記憶に触れるうちに、彼らは自分たちと共通点を持つ者たちと巡り合っていく。
魚が存在する理由、透明なクジラと見覚えのある青年、幼き頃の朧げな記憶――。海の深層に導かれたとき、和真は自身の秘匿された過去にたどり着く。
すべての生命と記憶が還る海で紡がれる、命を繋ぐ現代異能ファンタジー。