「僕は旅に出るよ,リザヴェータ.新鮮な空気が必要なんだ」 芸術への愛と市民的生活との間で葛藤する繊細な青年トーニオ.自己を求めて遷ろい,かつて憧れた二人の幻影を見た彼は,何を悟るのか.トーマス・マン(1875-1955)の自画像にして数多の作家が愛読した名作が,原文のニュアンスに忠実,かつ読みやすい訳で蘇る.詳細