「いつかこの手で、この台湾で、新種を見つけるんだ!」台湾人と日本人――植物研究者たちの情熱溢れる人間ドラマ1924年、大正時代の台湾は、植物研究の黄金時代だった。 薬草堂の跡取り息子・涼山(リョウザン)は、自ら起こした過失の尻ぬぐいのため台北の植物園で小間使いとして住み込みで働くことに。そこには厳格な童顔の植物研究助手、温厚だが一癖ありそうな植物絵師、植物バカの天然研究者など、個性あふれる面々がいた。 涼山は責任感の薄い今時の軽い若者に見えるが、幼い妹の死と、父親との関係という苦悩を抱えていた。そして植物に一途な彼らもまた、生きるが故のそれぞれの背景を持ち――。 台湾の植物を通して描かれる、植物採集の魅力、研究者たちのたゆまぬ努力と情熱、苦悩……そこにはいつも人間たちの熱きドラマがある。 明るくも、時に切ないみずみずしい筆致で描きだされる、植物と人間の賛歌!