「なぜ、皇帝陛下は私を選んだの?」そんな疑問が、マリアンヌの口をついて出てくる。マリアンヌ・トリコロールはトリコロール侯爵家のひとり娘。そんな彼女は、亡き皇后の後釜として皇帝に嫁ぐことになっていた。皇帝であるミシェル・ジーブルは氷帝と呼ばれ冷酷なことで知られる存在。そんな彼とやっていけるのかマリアンヌは不安だった。だからこそ彼女は、得意の語りで彼の気を引こうとしたのだが――初夜の日にマリアンヌは彼の温かさにふれる。そして、処女である彼女をミシェルは驚くほど優しく抱いてくれるのだった。彼の愛情深い愛撫にマリアンヌは溺れる。そして、行為が終わった後、ミシェルはマリアンヌにこう告げる。「聞かせてくれないか。君の物語を」彼の言葉を受けて、マリアンヌは語る。遠く異国の物語を、遠い昔の話を―――そしてマリアンヌは氷帝と呼ばれる彼に、少しずつ惹かれていくのだが……