人の移動を、ひとりの人生として、世界のあり方として、どう語るか?
「私にとって「移動」という問いは、学問的な探究という枠に収まるものではない。むしろ、互いの人生に巻き込み、巻き込まれた者として課された「宿題」なのだ」(本書「はじめに」より)
エチオピアの村で生まれ育ち、海外へ出稼ぎに行く女性たち。長年、村に通う文化人類学者の著者は、その話に耳を傾け、歩みを追いかけてきた。彼女たちの実感やリアリティと、海をこえて移動する人びとを国家の視線でとらえる言説と……。その隔たりをどう問い直し、語るか。考えながら綴るエッセイ。
〈目次〉
はじめに 移動する人が見ているもの
第一章 国境のはざまで
第二章 フィールドで立ちすくむ
・フィールドノート1 女性たちの旅立ち
第三章 人類学は旅をする
第四章 移民が行き交う世界で
・フィールドノート2 変わる家族のかたち
第五章 移民の主体性をとらえる
第六章 移動する何者かたち
・フィールドノート3 知りえない未来を待つ
第七章 「人の移動」という問い
・フィールドノート4 揺らぐ夢の行方
第八章 移動の「夢」が動かすもの
おわりに 対話をつづけるために