ビアンカが農夫ヤソンの納屋に目をやったとき、その姿が見えた。小さな少女の死霊が扉の前に立ち、《おねえちゃん、開けて!》と叫んでいる。悪い霊ではないとは思ったがどうしても気になる。アドリアン神父に相談すると「当分の間、近づいたり話しかけたりしてはいけない」と指示された。だが、村娘のレイシェルがピエモスとの逢い引き場所にとその納屋を訪れてしまい……。
悲しき死者の魂の訴えを聞く『聴罪師アドリアン』シリーズ、第3弾。電子オリジナルとなる短編集。
*精霊の井戸
*慈悲の剣(ミゼリコルデ)
*ペトラルカ
*柳の枝
●吉田縁(よしだ・ゆかり)
名古屋市在住、みずがめ座、O型。1995年下期のコバルトノベル大賞佳作を受賞しデビュー。主に、西洋中世をモデルとした架空ファンタジーを執筆。代表作は『聴罪師アドリアン』シリーズ。趣味は手芸、多肉植物。