アドリアンは気の遠くなるような暗闇と水の牢獄にいた。だが、運命とは皮肉なものだ。その水牢の中で、亡きヴェネデット枢機卿の最期を知る男に出会う。その男はすでに死亡しており、死霊となってアドリアンを待ちかねていたのだ。死者トロワが語る衝撃の真実に、アドリアンは呼吸することさえ忘れそうだった。全てを聞き終え真実を知った彼は、無事にサラ村へ帰還できるのか……。
悲しき死者の魂の訴えを聞く『聴罪師アドリアン』シリーズ、第12弾。電子オリジナルとなる長編ファンタジー。
●吉田縁(よしだ・ゆかり)
名古屋市在住、みずがめ座、O型。1995年下期のコバルトノベル大賞佳作を受賞しデビュー。主に、西洋中世をモデルとした架空ファンタジーを執筆。代表作は『聴罪師アドリアン』シリーズ。趣味は手芸、多肉植物。