マーガレット・サッチャーは、20世紀後半を代表する政治家の一人だ。1975年に保守党党首となり、79年には英国史上初の女性首相に就任。「鉄の女」の異名をとり、90年まで在任した。サッチャリズムと呼ばれた政策は、今なお賛否を集めている。本書は、波乱に富んだ生涯を照らし、その実像を描き出す試みである。
もくじ
まえがき――なぜ今、サッチャーか
第1章 食料品店主の娘が女性初の保守党党首へ
1 生い立ち
2オックスフォードでの大学生活
3 保守党下院議員
4 ヒース政権の教育科学大臣
5 保守党党首選への出馬
第2章 野党保守党の党首――一九七五年~七九年
1 イギリスの経済危機と戦後コンセンサスの終焉
2急進化する左派と右派
3歯切れの悪いサッチャー
4大英帝国解体後のイギリス外交――欧米の間で
5 初の女性首相の誕生
第3章 慎重な滑り出し――第一次政権 一九七九年~八三年
1経済政策をめぐる対立
2米英「特別な関係」の再建
3 大英帝国の遺産――ジンバブエ独立とフォークランド紛争
4ヨーロッパ統合に対する姿勢
5野党の分裂と一九八三年総選挙
第4章 統治スタイルの確立――第二次政権 一九八三年~八七年
1サッチャリズムの絶頂期?
2 炭鉱ストとの対決
3 レーガンとの蜜月?――サッチャー外交の二面性
4ヨーロッパ統合の再出発
5一九八七年総選挙への道
第5章 退場への道のり――第三次政権 一九八七年~九〇年
1社会政策におけるサッチャリズム
2統合の進展と為替レート・メカニズムをめぐる対立
3冷戦終結への道
4ドイツ統一
5辞職へ
終 章 首相退任後のサッチャーとその遺産
1 晩年の日々
2彼女は何を遺したのか
あとがき
参考文献
サッチャー略年譜
