中国とイスラーム世界が邂逅した7世紀以降、西方や南方から来華したムスリムは、歴代中国の諸勢力が躍進する原動力となり、各地に豊かな文化を根づかせた。
彼らは、中華文明とどう向き合い、中国社会をどう変えたのか。
本書は、唐宋代の交易からモンゴル帝国の統治、鄭和の大航海、清への反乱、辛亥革命と日中戦争、現代新疆の実相までを一望。
時空を超えた1400年の軌跡を、世界史の視座のもと照らし出す。
【目次】
まえがき
序 章 中国ムスリムの概要
民族別の人口と居住地 三つの主要な集団 (1)漢語を話すムスリム回族を中心に 「回族らしさ」とは何か 回族の宗教信仰 移動と定住 (2)新疆のテュルク系ムスリムウイグル族を中心に (3)サラール族・東郷族・保安族
第1章 外来ムスリムの往来と定住唐代から元代
1 唐とイスラーム世界の邂逅
2 沿海部における交易活動
3 中央アジアのテュルク化とイスラーム化
4 元朝と色目人
第2章 土着化の進行明代
1 社会的地位の変化
2 混血と入信
4 鄭和の大航海
第3章 苦難と変革清代
1 政策と制度
2 思想の深化
3 諸イスラーム集団の形成
4 ムスリム反乱
5 近代的覚醒と国際関係
第4章 民族意識の形成中華民国期
1 新国家への期待と現実
2 馬家軍西北地域の回民軍閥
3 ナショナリズムの喚起
4 民族と宗教
5 ウイグル・アイデンティティの芽生え
第5章 社会主義時代を生き抜く中華人民共和国期
1 宗教の破壊と再生
2 中国共産党と新疆ムスリム社会
3 国際化する新疆問題
4 政治宣伝と文化変容
終 章 中国ムスリム史が伝えるもの
あとがき
参考文献
イスラームが動かした中国史 関連年表
